日本考古学協会2023年度宮城大会 - 災害と境界の考古学 2023年10月28日(土)・29日(日)・30日(月) 仙台市青葉区 東北学院大学土樋キャンパス
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  委員長挨拶

挨 拶

日本考古学協会宮城大会実行委員長 佐川 正敏

 今年の猛暑は9月に入っても衰えませんが、やはり秋は近づいてきました。間もなく宮城県でも仙台・大崎平野は黄金色に輝き、栗駒山や蔵王山の紅葉も始まるでしょう。
 さて、日本考古学協会が仙台市で開催されるのは3回目です。初回は、今から60年前の1963年で、当時国交がなかった中華人民共和国から中国社会科学院考古研究所の夏鼐氏が招待されました。1963年には多賀城政庁跡の発掘調査が開始されました。2回目は1991年で、シンポジウム資料集『北からの視点』が刊行されました。シンポジウムの分科会には、座散乱木や馬場壇Aなどの捏造遺跡を含む旧石器時代をテーマとするものもありました。
 その後10年間、遺跡の捏造は高森、上高森、さらに宮城県外の東・北日本各地でも繰り返され、世界の旧石器学界や学生、市民を欺き続けました。そして、2000年に上高森で捏造がスクープされ、日本の考古学はしばらく混乱の渦中に陥ってしまいました。自責の念と失意の中で行われた日本考古学協会特別委員会などによる上高森と座散乱木の検証発掘でしたが、全国各地から多くの研究者や大学生が真実を知ろうと自主参加されました。
 その約10年後の2011年には東日本大震災が発生し、宮城・岩手・福島の三県の震災復興開発に伴う発掘調査を支援するために、全国各地の自治体から文化財職員の方々が長期派遣・滞在されました。遺跡からは多くの新発見もありました。知る人ぞ知るIMF(岩手・宮城・福島)という親睦団体も生まれました。本当にありがとうございました。
 さらに約10年後の2020年には新型コロナウイルス感染が世界的に拡大し、やや収束の感があります。協会2023年度宮城大会もそうした中での開催となります。リモート併用を維持し、図書交換会を3年ぶりに復活し、復元された多賀城南門の特別見学を含む充実したエクスカーションも準備しました。共通テーマは、「災害と境界の考古学」です。その背景には、①将来必ず再来する震災とパンデミックの経験があり、また②自然や文化の境界が国家の境界となり、それをめぐる悲惨な戦争や紛争が未だ止むことなく続き、連日報道されていることがあげられます。
 ①に関しては、まず石巻市出身で文化庁主任調査官の近江俊秀氏が東日本大震災において展開された文化財行政の様々な経験について講演されます。つぎに研究発表第1分科会において、前半では全国各地の自治体職員によって支援された復興調査の成果についての報告があり、その一部を東北学院大学博物館で展示します。後半では地震津波を含む自然災害に関する研究の成果と課題についての報告があります。
 ②に関しては、まず協会理事長で東北学院大学教授の辻秀人氏が自身の50年にわたる国家形成と東北地方に係る研究について講演されます。つぎに第2~4分科会において、先史時代の北日本と日本列島、律令国家形成期の東北南部、9世紀の多賀城周辺へ移配され新羅人と東北のキリスト教文化を通して境界の変質と交流についての報告があります。
 以上の研究成果とポスターセッションの要旨が巻頭カラーページとともに、約500頁の資料集にまとめられ刊行されます。日本考古学協会宮城大会の開催にあたりましては、多くの機関から共催・後援・写真提供などのご高配を賜りました。末筆ですが、厚くお礼申し上げます。

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